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積層合板 Q&A

1.合板の膨張・収縮について

Q 合板の膨張・収縮率を知りたい。また、素材と比較した場合ではどうか。

A 合板の平均膨張率は、合板の厚さ、構成比(表板と平行の単板厚さの和/表板と直行する単板厚さの和)にもよりますが、厚さ6mm、構成比0.57のラワン合板の場合、含水率1%当たりの膨張率は、0°方向で0.023%、90°方向で0.021%程度です。
また、素材との比較では、吸・放湿に伴う合板の寸法変化率は、素材の繊維方向の2~3倍、繊維直行方向の1/20~1/10程度です。

2.合板の耐久性について

Q 合板の耐久性は、使用箇所が屋外と屋内によって違うと思うが、それぞれの用途によってどのくらいの年数を目途とすべきかを知りたい。

A 合板の耐久性は、使用接着剤により変わってきます。フェノール樹脂を用いた合板は、野外環境に長期間暴露されても高い耐久性を有しています(3プライ合板を15年屋外暴露した場合で残存率は50%程度)。表面処理を施さない合板は、単板の劣化が激しく、接着層よりも単板の寿命に左右されます。木造住宅の外壁下地に使用した例では、実際の使用環境下で約20年経過後の強度性能は、規格基準値を満たしています(木造住宅の構造材に使用される場合、使用環境は暴露環境よりゆるやかなため)。
ユリア樹脂を用いた合板は、屋内では長期の使用が可能ですが、屋外では接着剤の劣化により3年程度ではく離しています。
合板の耐久年数は、長期間経過後のデータも少なく、難しいことですが、屋外環境にさらされる恐れのある場合は、JAS特類合板に表面処理を行って使用することが必要です(メラミン・ユリア樹脂接着剤使用の合板では、屋外暴露1年が20℃90%RH環境下のほぼ10年にあたるという換算理論が提案されているようです)。
※木材工業ハンドブックから引用。監修者:独立行政法人 森林総合研究所。

3.合板の熱伝導率について

Q 合板の熱伝導率を知りたい。

A 接着層及び熱圧縮による密度増加等の影響が無視できる場合は、素材と同一です。合板の密度が0.55(g/cm3)の場合で0.11λ(kcal/m・hr・℃)であり、密度0.46~0.60のラワン材と同じです(いずれも気乾状態、20℃における値)。

4.合板の遮音性能(透過損失)について

Q 合板を壁面に使用した場合の遮音効果について知りたい。

A 音に対する合板のパネルの性能は、外部の騒音を遮断する性能と、侵入した音ならびに内部で発生した音を収める吸音性能があります。
吸音に対しては、合板固有の吸音機能と小さな穴を開け、多孔質材料(インシュレーション、ハニカム等々)で裏打ちする吸音機能があるが、薄い合板だけでも低周波域で大きな吸音性能を有しています。
パネルの遮音性をあげるためには、壁を厚くするか、複合構造にするのが有効です。透過損失(dB)についての例として、ラワン合板(6mm)で2000Hzに対して24dBです。透過損失が大きいことは、遮音性能が良いことを意味します。

5.合板の表面汚染について

Q ラワン合板が雨にぬれたので、そのまま立てかけておいたが、表面が部分的に黒色状に汚れてきた。この原因と汚染を除去するにはどうしたらよいか教えて欲しい。

A 汚染とは、一般に材の正常な色以外のものを示す場合を言い、材中の成分の化学作用に基づく場合、他物の付着による場合、変色菌におかされて着色する場合などがあります。
この場合は、雨水によるものということで、酸による変色(汚染)が考えられます。除去方法は、過酸化水素水や亜鉛素酸ナトリウム等の漂白剤で脱色します。また、著しい汚染には、過酸化水素水に10%アンモニア水を1~3%添加したものかあるいは1%程度の水素化ホウ素ナトリウム水溶液が有効のようです。

6.合板の反りについて

Q 合板の反りを少なくするには、製造時どのようなことを注意すべきか。

A 合板の単板構成が厚さ、寸法変化率、弾性率などの点で中立軸に対して対象でない場合、裏割れが多い場合、繊維傾斜が著しい場合、又は単板の乾燥度が不均一な場合等に反りが生じます。反りの原因は、水分変化によるものが多く、製造時の単板含水率を気乾状態に近づけることで少なくすることができ、熱圧後に平面の状態にして冷却することも効果があるようです。

 

7.合板の完全耐水性、高度耐水性とJASの特類、1類及び2類との関係について

Q 合板の完全耐水性と高度耐水性の違いは何か。また、JASの特類、1類及び2類との関係はどうか。

A 昭和28年に制定された合板の日本農林規格(JAS規格)が昭和39年に廃止され、新たに制定された普通合板の日本農林規格において、接着性を示す等級は1類、2類及び3類とし、「1類は、長期間の外気及び湿潤露出に耐え、完全耐水性を有するように接着したもの」、「2類は、通常の外気及び湿潤露出に耐え、高度の耐水性を有するように接着したもの」及び「3類は、通常の耐湿性を有するように接着したもの」と定義されていました。 普通合板には「特類」という等級はなく、また平成11年に改正されるまでこの定義のままでした。
その後、合板の用途も拡大し合板の規格もこれに対応する形で制定され、その一つに構造用合板の日本農林規格があり、「特類」が新たに加えられました。現在の合板(普通合板、コンクリート型枠用合板、構造用合板、天然木化粧合板及び特殊加工化粧合板を一体化したもの)の日本農林規格では次のように定義されています。
特類:屋外又は常時湿潤状態となる場所(環境)において使用することを主な目的とした、特類に対応する試験の接着の程度の要件を満たす合板の類別をいう。
1類:コンクリート型枠用合板及び断続的に湿潤状態となる場所(環境)において使用することを主な目的とした、1類に対応する試験の接着の程度を満たす合板の類別をいう。
2類:時々湿潤状態となる場所(環境)において使用することを目的とした、2類に対応する試験の接着の程度の要件を満たす合板の類別をいう。
このように現在は完全耐水性又は高度耐水性という用語は使われなくなりました

 
 

8.合板からのホルムアルデヒド放散量経時変化について

Q 合板から放散されるホルマリンの量は、時間が経過するにつれてその量が減少するといわれるが、どの程度まで減少するか。

A ホルムアルデヒド放散量の経時変化は、放散量の初期値、換気回数等に影響されるので一律にはいえませんが、合板等の放置試験では、デシケータ値が3?5mg/Lの合板を換気回数4.0回/hr程度の室内に放置すると、放置条件にもよりますが早ければ2週間、遅くとも6週間で1/3以下になる報告もあり、放置時間の経過に伴って減少するものと考えられます。しかし、換気が十分でない場合、特に高温多湿の状態では3ヶ月程度は当初の気中濃度が低下しないこともあります。

 
 

9.合板のホルムアルデヒド放散量について

Q 輸入合板を購入したが、ホルムアルデヒド放散量の表示がないので検査機関へその試験を依頼した。測定結果は、2.77mg/Lであった。JAS規格の性能区分による表示では、Fの星いくつに相当するか。

A 合板のJAS規格では、ホルムアルデヒド放散量の表示は、採取した試料合板(2~5枚)の試験結果が、表示の区分に応じ平均値と最大値により規定されています。この測定結果についてJAS普通合板の最大値のみを当てはめると、F☆(7.0mg/L以下)に相当します。

 



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